今、カレーを煮込んでおるところ、2号です。
もうずっとずっと前のことだけど、学校時代に野球部だった人が飲み会でしてた思い出話を、今でも時々記憶から取り出して味わってます。
ちなみにこの人、飲み会当時、ちょっと小太り。
野球部でも、足はかなり遅かったらしい。
そんな彼に、ある試合、監督が盗塁のサインを出した。驚いた彼は、それでも何とか二盗を決める。やれやれと思っていると、なんと、また、盗塁のサイン。
彼曰く、「いいかい、三盗のサインなんていうのはね、あのイチローにだって年に一度出るか出ないかくらいのもんなんだよ」。
ここで、私の心はわしづかまれた。こういう「へぇ〜っ!!」な話は大好きだ。実際のイチローがどうかは別にして、たとえとしてもすばらしい。わかりやすいし、ちょっと感動する。
さておき。
鈍足の彼に出た三盗のサインに誰もが目を疑った。でも、監督の指示なので、と走った。結果、余裕でアウト。スタート切った瞬間から、自分も含め誰もがわかっていた。塁で、いらっしゃいませと待ち構えていた三塁手は笑顔で、タッチする時「ほいさ〜」みたいなことを言ったと。その笑顔とかけ声は彼の脳裏にくっきりと刻み込まれ、今でもその場面を昨日のことのように思い出せるんだそうだ。高校時代の野球の一番鮮明な記憶は、この負けた試合のこの場面なのだと。
試合後に判明したコトの真相は、実は、監督はすごくトイレに行きたいのをガマンしていて、何度も足を組み替えて耐えていたらしい。で、その日はたまたま、足を組み替えるのが盗塁というサインになっていた。(試合ごとにサインを変えるなんて知らなかった!)。ごめんごめん〜と監督は言ったそうな。監督がトイレに行って以降、その日は二度とムチャな盗塁のサインは出なかったらしい。
この小さな逸話で、彼が強調したかったのは、監督がトイレをガマンしていたというオチの部分だったみたいだけど、私のツボは、三盗はイチロー級の俊足にも滅多に出ないサインっていうことと、それに絡んだ彼個人の実感のこもった話。
イチローのところで「へぇっっ!」ってテンション上がって、彼の余裕のアウトが一番の思い出ってところでほとんど心が粟立ってしまう。肌が粟立つみたいに(鳥肌って言いたくないので、悪しからず)。だから、何年経っても、私もその話を記憶から取り出して何度も味わえる。
そして、この前。
なんと貴重なことに、いっしょに写真を撮ってもらったことがある有名指揮者の佐渡裕氏の記事をチラと読んだ。音楽のプロの方々の話も、スポーツ同様、心が粟立つ話の宝庫だ。
まず、「へぇぇ!」ってなったのが、(厳密な言い方は違うかもしれないけど)「「Eフラットメジャー」はクラシックでも神的な調性」って話。クラプトンもこの変ホ長調の曲が多いって。
そういえば、わたくし、↓このような素人ゆえの超横暴な無知なことをほざいていたことがあったのだが、
http://miha27.seesaa.net/article/122490807.html
ていうか、これ↑もおけいこの実感としては今でもその通りなのだが、
実は、正しい音楽界ではこんな神々しいこと(?)になっていようとは!
ここまでが、「へぇぇっ!」の段階。
その次の佐渡裕氏の言葉が、もう昇天ものにグッと来ちゃったのだ。
「「Eフラットメジャー」は、管楽器がよく鳴る調性。一方、弦が鳴りづらい。(←あぁ、ここも「へぇぇっ!」の連続!)
だから、Eフラットメジャーの曲の時は、弦楽器の人が鳴らそうとして一生懸命やるから、ものすごく美しい通奏低音が聞けたりするんだ」って。(←言葉は正確ではありませんが)
プロの人、その道に通じる人だけが知っている真相とか真実とか。そして、ただそれだけじゃなくて、そこにいる人にしかわからない実感のこもった感想なりがついてくる。
この、現場にだけある、現場の人じゃないとわからない隠れた宝物みたいな話。そういうのを聞かせていただくのは、本当にありがたくも幸せなことです。虎児は虎穴の中にこそいるっていうか、事件は会議室じゃなくて現場で起こってるっていうか。。。臨場感とともに一瞬で高い頂きに連れていってもらって、こっそり秘密の宝物を見せてもらう。そんな気分。
というわけで、途中、カレーも食べたので、あとはシャワーして寝ます。
私も、宝物みたいなエピソードを語れるような何かを極められたらいいなぁ。。。(2号)